英国で開催されたG7サミットにおいて合意された「G7 2030 年自然協約(G7 2030Nature Compact)」では、2030年までに生物多様性の損失を食い止め、反転させる(Nature Positive)という「30by30目標」達成に向け、自国の陸域・海域の少なくとも30%を保全・保護することを約束しています。
当社では土地の持続可能な利用の重要性から製造拠点の敷地内及び周辺地域の自然保護活動を通じて、地域に根付いた生物多様性保全活動を推進しています。
「30by30目標」の達成を目指し、国立公園等の拡充並びに里地里山、企業林その他の様々な主体によって守られてきたエリアのOECM(Other Effective area-based Conservation Measures)としての国際データベース登録及び保全等を促進し、又はその取組を積極的に発信することを目的として、行政、企業、NPO等の有志連合として、「生物多様性のための30by30アライアンス」が設立されました。
当社では今治事業所の生物多様性保護活動について本アライアンスへ参加登録し、本アライアンスメンバーとして活動推進しています。
2023年10月6日(金)、今治事業所が地域と連携して保全している織田ヶ浜海岸が「自然共生サイト」として環境省に正式に認定されました。認定区域は、「OECM」※1として国際データベースにも登録されます。
※1 Other Effective area-based Conservation Measures:
保護地域以外で生物多様性保全に資する地域。民間などの取り組みにより保全が図られている地域や、保全を主目的としない管理が結果として自然環境を守ることにも貢献している地域を指します。日本においては、そのような地域を「自然共生サイト」として認定するプログラムが2023年度より開始されました。
今治事業所では愛媛県絶滅危惧ⅠB類の「ウンラン」、愛媛県RDBⅠ類 環境省ⅠB類の「ハマビシ」、愛媛県RDBⅡ類「ハマニガナ」、愛媛県RDB準絶滅危惧種「アキノミチヤナギ」、愛媛県RDB準絶滅危惧種「カワラサイコ」、愛媛県RDBⅡ類「ヤマトマダラバッタ」、愛媛県RDB準絶滅危惧種「オサムシモドキ」等、沢山の希少種が生息している今治市織田ヶ浜海岸の整地活動を2015年より近隣住民、愛媛県自然保護課、愛媛県生物多様性センター、今治市、NPO団体、動植物専門家と共に夏季・冬季と年間4回実施してます。2021年度からは近隣企業も参加し、連携形態が大きくなりました。
2016年度より織田ヶ浜近郊の小学生児童4年生約120名を授業の一環として毎年秋季に現地に招いて児童が目で見て触り希少動植物の調査観察を実施しています。2023年度も実施し2024年度も計画しており継続9年目の活動となっております。
2023年度は海岸漂着物学習で児童の皆さんビーチクリーン活動を実施し、学校内で出前授業も行いました。
地域に根付いた生物多様性推進活動を目指し取り組んでおります。お陰様でこの8年間、継続して地元小学生と共に生物多様性の推進活動を行うことができました。真剣な眼差しと屈託のない笑顔がとても印象的でした。
整地活動を実施している様子
児童に観察会を説明している従業員
小学生児童との漂着物回収活動
小学校出前授業をしている従業員
東芝グループでは、「生態系への配慮」項目における重要な施策の一つとして希少種の保護を中心とした生物多様性保全活動を推進しており、当社各製造拠点で生物多様性保全活動に取り組んでいます。ここでは、その取り組み事例を紹介します。
2014年度より継続して、絶滅危惧Ⅱ類「オオチゴユリ」を工場敷地内にて保全活動を推進しています。「オオチゴユリ」生育を阻害する帰化植物「ハリエンジュ」の駆除、常緑樹(「シラカシ」、「コナラ」、「エノキ」)植栽等により生育エリア内を整備・整地しました。毎年、低木類や雑草除去作業を実施し増殖、開花観察を行っています。
工場敷地内の生育地(3月)
開花の状況(5月)
草刈り前(7月)
工場内生育地の整備(11月)
工場内にて2013年度より継続して、絶滅危惧Ⅱ類「デンジソウ」、準絶滅危惧「トチカガミ」及び愛媛県絶滅危惧ⅠB類「ウンラン」の保護育成活動をビオトープにて推進しています。毎年定期的に草取、育成状態を確認しております。
ビオトープ
トチカガミ
デンジソウ
ウンラン
2014年にビオトープ設置を行い、食草用の野生のヨモギを植え保護観察を開始しました。毎年継続しており、夏季にはツマグロヒョウモンの飛来が確認されております。
ビオトープ
ツマグロヒョウモン
ツマグロヒョウモン
ツマグロヒョウモン
中国特有の希少植物である琼花は、“昆山三宝”の1つであり、工場敷地内にて保全活動を推進しています。2013年より会社敷地内にて2本の琼花を植樹し、定期的に水やり・整地活動を実施しています。琼花の花は、黄色く、葉が柔らかく良い香りです。2023年では、琼花から黒色の種子が出現し、早苗生育しています。
開花の状況
開花の状況
開花の状況
2023年6月に東芝ライテック・コンポーネンツ・タイ社では、天然水源の水生動物の数を増やすために地元の川へ魚を放流する活動に、188人の従業員が参加し、 魚をチャチューンサオ県のバンパコン川に放流しました。
魚の放流活動
魚の放流活動
魚の放流活動
化学物質による環境汚染防止施策として化学物質総排出量の削減を推進しています。2023年度では払拭・洗浄作業に使用するアルコールなどの使用削減により、2022年度に比べて化学物質総排出量を削減しました。2023年度の化学物質総排出量は、目標14.2tに対し、実績11.8tと目標を達成しました。
世界的な水資源問題に対応するため、各拠点で水受入量の削減目標を年間計画に盛り込み監視しています。循環型社会の実現に向けて、冷却水の循環、クローズド化など水資源の有効活用を進めています。2023年度の水受入量は、目標150km3に対し、実績138km3と目標を達成しました。
当社では、RoHS、REACHなど製品含有化学物質に関する規制を遵守しています。
ここでは最近話題になっている製品環境法規制の動向をピックアップして記載します。
PFAS(パーフルオロアルキル化合物およびポリフルオロアルキル化合物)は、誘電特性や難燃性などの優れた特性を有することからエネルギー・半導体・インフラ分野など多岐にわたって使用されているが、環境残留性や生体蓄積性も相まって社会全体で対処する必要がある人間の健康または環境に対する許容できないリスクがあると言われてきています。
特にPFOS、PFOAは一部のPFASに毒性が認められているため、REACH規制対象になっていますが、PFHxSについてもPops条約での制限が見込まれています。
これを受けて、当社としてもグリーン調達ガイドラインの禁止物質として定め、欧州向け製品はもちろんのこと、国内向け製品に対してもPFHxSの不含有を推進していきます。
水銀汚染防止法は、水銀に関する水俣条約の的確かつ円滑な実施を確保し、水銀による環境の汚染を防止するため、水銀の掘採、特定の水銀使用製品の製造、特定の製造工程における水銀等の使用および水銀等を使用する方法による金の採取を禁止するとともに、水銀等の貯蔵および水銀を含有する再生資源の管理等について定めた法律です。
水銀汚染防止法に関連し、分別廃棄を推進するために水銀使用製品への水銀含有に関する情報の提供が求められています。環境省および日本照明工業会は、「水銀の表示に関するガイドライン」を2016年にそれぞれ発行し、「ホームページ」「カタログ、リーフレット」「パッケージ」「製品本体」による情報提供を推奨しています。
当社は日本照明工業会のガイドラインに準拠し、次の情報提供を行っています。
※ パッケージ、製品本体への水銀含有に関する情報提供は順次切り換え推進を行っています。
水銀に関する水俣条約の詳細および使用済み水銀使用ランプの分別・回収に係る情報を紹介いたします。
水銀使用ランプには、様々な種類があります。また、家庭からの廃棄と事業者からの廃棄では排出方法が異なります。
詳細については、次のリンクを参照の上、適切な分別・廃棄をお願いいたします。