東芝 東北 ASHITAプラン
東日本大震災からの復興支援活動の一環として、岩手県への観光集客力の拡大に貢献するため、世界文化遺産に登録されている岩手県平泉の中心的構成資産である中尊寺に、LED照明設備と太陽光発電システムを寄贈しました。
中尊寺新覆堂(しんおおいどう)内の金色堂や仏像、荘厳(しょうごん)注1の芸術性・精神性をより効果的に表現できるLED照明空間を実現しました。また、自然と共生する平泉の理念に賛同し、自然エネルギーを活用する5kW規模の太陽光発電システムを設置しました。 これにより、中尊寺のみならず、岩手県および東北地方へのさらなる観光客集客に寄与したいと考えています。
(注1)浄土などの仏国土、仏・菩薩などを美しく厳かに飾ること。またその飾り。
大切な文化遺産を守り継承していくために、東芝は照明技術のすべてを結集。LED照明導入前に比べ、消費電力を約41%削減しました。また省電力化だけでなく、「仏国土(浄土)を表す建築物」として総金箔の堂外観、螺鈿(らでん)や蒔絵等で荘厳された巻柱(まきばしら)、内陣須弥壇(しゅみだん)に各々安置されている阿弥陀三尊像、地蔵菩薩、二天像などの迫力、装飾の芸術性を損なわない色の美しさや色合いの作り方、光源自体の見え方までを検証し、充分な明るさと空間にあった最適な色温度と、より自然光に迫る演色性を実現しました。
照明設計協力/松下進建築・照明設計室
今回の照明改修は、中尊寺金色堂が建立された当時を偲び、当時、金色堂に込めた阿弥陀堂として極楽浄土を具現化 させた、その思いを現代に生きる者として維持、継承すること。藤原清衡公が皆金色の中に永遠性を感じ、想いを 寄せた極楽浄土。金箔、象牙、螺細、蒔絵といった日本漆芸技法を凝らした荘厳さを表面的な演出ではなく、金色堂の内在する荘厳さを可能な限り、あるがまま、そのままに伝えること、そうすることが、美しさの奥にあるその本質的な力を引き出すことができる。
建立当時、屋外に設置されていた金色堂は日光を受けて輝き、日本の伝統的な建築に見られるように、太陽の光は縁側に反射して室内に入り、さらに奥へと反射していき、金色堂の奥の方まで光を導くといった光環境になっていたと考えられ、今でもその風景に思いを馳せることができる。夜間においては月の光で輝く光堂という趣きであったことを想像する事も、たやすいことと思われる。ロウソクや松明(たいまつ)の火などに代表される横から差し込んだ光により、荘厳さや仏像が浮かび上がることも人びとに感動を与えたに違いない。その感動をこれからも継承させていきたい。
天台宗東北大本山関山中尊寺殿と東芝グループにより共同で実施した中尊寺金色堂 照明改修プロジェクトが、一般社団法人照明学会の日本照明賞を受賞しました。
中尊寺金色堂 照明改修プロジェクトでは、世界遺産であり、国宝建造物第一号でもある中尊寺金色堂を東日本大震災復興の象徴として位置づけ、金色堂の本質的な魅力を引き出し、拝観者が自然に向き合うことができ、美しさを堪能できる光環境の構築および人類の大切な文化遺産を維持・継承していくことを最上位コンセプトとして実施されました。
受賞対象:「中尊寺金色堂 照明改修プロジェクト −世界遺産 維持・継承の試み−」
受賞者(※):
天台宗東北大本山関山中尊寺
株式会社東芝
松下進建築・照明設計室
東芝ライテック株式会社
東芝エルティーエンジニアリング株式会社
※受賞者の個人氏名は省略いたします
日本照明賞について
日本の科学、技術、産業、芸術、文化の水準を高め、世界に誇りうる優れた業績を顕彰するものです。
第31回(2012)日本照明賞
「中尊寺金色堂 照明改修プロジェクト −世界遺産 維持・継承の試み−」について
世界遺産 中尊寺へのLED照明設備と太陽光発電システムの寄贈について((株)東芝のニュースリリースへリンク)
世界遺産 中尊寺(中尊寺のウェブサイトへリンク)