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Art lighting ライブラリ

片山通子(かたやま・みちこ)プロフィール

舞台照明家

2004年アート・ステージ・ライティンググループ(A.S.G.)入社。 主なオペレート担当作品は、『ラマンチャの男』『元禄港歌』など。

編:舞台に携わるようになったきっかけと現在の主な業務を

高校の時にコンサートを観に行って、それで最初はコンサートの照明をやりたいと思ったんですが、日が経つにつれ、沢田祐二さん(※1)の照明を観て、で、芝居の照明のほうが面白いのかなと思ってA.S.G.へ入社しました。沢田祐二さんが在籍していた会社だというのと、専門学校の先輩から「芝居の照明をやりたいのなら、A.S.G.っていう、いい会社があるよ」と教えてもらったのも理由です。うちの会社が日生劇場と新国立劇場でのオペレートの仕事を受けていて、私は日生チームに入っています。ずっと日生劇場にいるわけではなくて、日生劇場の公演担当に入っている時は日生劇場の仕事をして、それ以外の時は、うちの会社のプランナーが持って来る別の仕事をいろんな劇場などでやっている感じです。

編:今までに担当して面白かった舞台は

全て思い入れはあります。「この作品は」っていうのは何年かに一回ですかね。かなり以前ですけど、『子午線の祀り』(※2)は面白かったです。ずいぶんあっちこっちで上演して、その後、世田谷パブリックシアターで公演したものです。他には、蜷川幸雄さんの作品で、彩の国さいたま芸術劇場と青山劇場で『あゝ、荒野』(※3)のチーフを担当した時。設備が異なる劇場で同じ演出を実現することを考えなければいけない作業が勉強になりました。吊り物もすごくたくさんだったので。

編:照明機器のデジタル化が進んでいます

ムービングが増えていく一方ですが、困ると感じることはとくに無くて。以前はすごくたくさん吊らなければいけなかったのが、ムービングが増えると、吊る数は減るので嬉しいです。ただ、その一方で、その一台のムービングが壊れると、いろんなことがダメになってしまう(笑)。あと、もうちょっと器具が軽くなってほしいですね。いろんなことができるから、なかなか軽くはならないんでしょうけど。LED光源の灯体も出てきていますが、私たちが望むようには、まだフェードインしてくれないので、それをうまくフェードインしているように見せるのが、苦労と言えば苦労ですね。嬉しいことは、壁当てとか、以前はたくさん仕込まないといけなかったのが、LEDなら一台仕込めば、色も変わってくれるし、楽ですね。ムービングでLEDの場合は200V取らなくて済むので、それも楽ですね。

編:今後10年、20年で機器の在り方、舞台照明家の仕事の在り方の変化は?

よく仕事仲間と冗談で言ってるんですが、きっとあと20年くらい経ったら、誰もパーライトなんて知らないんじゃないかって(笑)。ムービングばっかりになって、パーライトなんて無くなってるんじゃないかって(笑)。そんなことは無いとは思いますけど、よく冗談でそんなことを言ってます。オペレータの仕事の在り方じたいはずっと変わらないと思います。機器の操作方法は変わっても、仕事に対する姿勢は根本的には変わらないと思ってます。

編:劇場の設備や空間について

仕込みについては、サスに回路が多い方が嬉しいです。200VとかDMXの回路がサスに来てたら、今後はもっと嬉しいです。調光室は一階席のセンターの一番奥にあるのが私は好きです。プランナーと同じ目線で見られるので好きなんです。床面がきちんと見えないと嫌だという人もいますね。

編:舞台照明の仕事を目指す人へ

舞台だけではなく、いろんなもの、景色とか映画を観たり、本を読んだりとかは心掛けておくとよいですね。あと、英語ができるとよいです(笑)。
英語の取説しかない状況で、それを見て何となく理解できる程度でいいんですけど。喋れれば尚いいんですけど、わりとジェスチャーと勢いで乗り切ってるんで(笑)。それから、学生のうちから、なるべく現場に連れて行ってもらうようにすることも大事です。学校とかでも、誰か知り合いがいたら現場に連れてってもらうほうがいいです。私は専門学校の時に友達とCAT(※4)の講座にも行って、機材とかを触らせてもらいました。そういう積極性も、学生のうちから鍛えておくといいです。待ってても仕事は貰えないですからね(笑)。

編:映画とか本について片山さんの場合は?

学生の時は、本も読んでましたし、映画は毎週水曜日の女性千円の日とかに出掛けてました。今も、できはするんですが、学生の間の潤沢に時間のあるうちにやっておくとよいです。

編:舞台の世界で覚悟しておくべきことは?

休みは無いですね。あるけど無い(笑)。長い休みは無いのと、それから、生活が不規則になりますね。生活リズムが不規則で体調を崩した人も知ってますし。私は、今のところ大丈夫ですけど。ツアーが多い人だとあまり家に帰れなかったり。私はあまりそういうことに抵抗を感じないですけれど。ホテルだと毎日掃除してくれるし(笑)、美味しい物も食べられるし(笑)。

編:今後、携わってみたい舞台は

やっぱり芝居が好きなので、できれば芝居の舞台に付いていたいですけど、そんなに過酷な現場でなければ、なんでも楽しくできてしまうと思ってます。

編:好きな芝居は

話が不幸じゃないもの(笑)。ようはコメディーですね。あとは実話的なものが好きですね。

※1 舞台照明家。公益社団法人日本照明家協会会長。
※2 2004年。木下順二 作、観世栄夫 演出。
※3 2011年。寺山修司 作、蜷川幸雄 演出。
※4 クリエイティブ・アート・スィンク。舞台照明を中心とした、舞台製作の会社。

注:このインタビューは2013年8月に行われたものです。

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