> 設計・提案支援 > リニューアル提案 > 照明器具交換時期の目安と判断基準 > 蛍光灯器具の適正交換時期
照明器具は、建築物の付属品とみなされ、一般の工業製品と同じく耐用年限があることが見過ごされがちです。しかしながら古くなった照明器具は、エネルギー面と安全面から大きな問題を起こす可能性が高くなります。省エネルギーの面では、器具自体の性能の低下とともに、現在の器具と比べエネルギー効率の大幅な損失があります。
特に大きな問題になるのが安全面です。近年古くなった安定器の過熱による火災が注目されております。
一般に古くなった安定器は不点による寿命として、お取り替えいただいておりますが、ごくまれに巻線の部分的な短絡に始まり、異臭の発生、発煙、発火、コンデンサー寿命による破損に至ることがあります。
古くなった蛍光灯器具は早めのお取り替えをお願いします。
現在お使いの蛍光灯器具に、こんな現象は、出ていませんか?
このような現象が現れている照明器具は要注意です。現在の照明器具は何年使用されていますか。もし、10年近くお使いでしたら一度診断をしてください。
特に心臓部である安定器には十分な配慮が必要です。
絶縁物の熱劣化によりコンデンサーが破壊し、内部のオイルが流出した一例です。
ケース入り安定器内部の絶縁物の劣化により、ポリエステルコンパウンドの熱損事故にまで及びました。
長期使用によるエナメル被覆の劣化状態を示したものです。
エナメル被覆がハクリしていない部分を線径の15倍径のものに巻きつけて試験したものです。エナメル被覆が硬化しもろくなっているため容易にハクリが発生しました。
照明器具の使用可能な年数は、年間使用時間によって異なり、また電源電圧、周囲温度などの使用環境によって左右されます。このため一般的に耐用年限、寿命を求めることは不可能です。しかし、適正交換時期の目安は是非必要で、〈JISC8108の解説〉に「安定器の平均寿命は、一般的な使用状態で8〜10年間と考えられる」と記されており、照明器具のJIS(C8105―1の解説)では、年間点灯時間が1,500時間、3,000時間、5,000時間の使用時間(主な用途区分)および電源電圧、周囲温度を区分けして、下表の通り適正交換時期の目安が算出されております。
使用時間 | 1,500時間/年 (5時間/日) |
3,000時間/年 (10時間/日) |
5,000時間/年 (17時間/日) |
8,000時間/年 (24時間/日) |
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主な用途 | 体育館、会議室 | 事務所、工場(一般)、店舗 | 工場(2交替) | 工場(全日操業) 24時間点灯 |
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使用条件 | 電圧 | 定格 | 105% | 定格 | 105% | 定格 | 105% | 定格 | 105% | ||||||||
温度 (℃) |
30 以下 |
40 | 30 以下 |
40 | 30 以下 |
40 | 30 以下 |
40 | 30 以下 |
40 | 30 以下 |
40 | 30 以下 |
40 | 30 以下 |
40 | |
交換時期(年) | 15 | 10 | 14 | 7 | 10 | 5 | 7 | 3.5 | 6 | 3 | 4 | 2 | 3.8 | 1.9 | 2.5 | 1.3 |
備考:本来、照明器具の交換時期は、電気特性、光学特性(汚染を含め)、その他の要素により総合して考慮するのが妥当ですが、光学特性は定量化しにくい点があり、本表では電気絶縁材料の耐用年限から考えて交換時期を設定しています。
また、本表は屋内の一般の用途を対象としており、海岸に近く塩害を受ける場所等で使用する場合は、金属部の腐食が早く、光の反射率が悪くなるとともに外観上からも早期交換が必要です。
(一般社団法人 日本照明工業会「施設用蛍光灯器具診断のおすすめ」より)
照明器具の累積故障率