> 設計・提案支援 > リニューアル提案 > 照明器具交換時期の目安と判断基準 > 照明器具/インバーター/ランプ/安定器/LEDの寿命と昇降装置の耐用限度・点検について
照明器具には寿命があります。【JIS C 8105-1-2010 照明器具・第1部:安全性要求事項通則】の解説では以下のように説明されています。
照明器具の寿命は設置後約10年が交換の目安です。
一般社団法人 日本照明工業会では照明器具の適正な点検・交換を推進しております。
非常に稀なケースですが、寿命末期の絶縁破壊時のコンデンサーケース内圧の増大により、ケースが破損したもの。
非常に稀なケースですが、コイルレヤーショートから焼損に至ったもの。
照明器具の安定器交換は「器具の改造」に相当します。交換された後の器具はメーカーの保証外となりますのでご注意ください。改造後の事故・不具合につきましては改造・使用者側で対処頂くことになりますのでご了承願います。
インバーターの寿命、ランプの寿命とも一般安定器との差はありません。尚、インバーターの寿命は照明器具のJISC-8105-1の解説に示されている累積故障率のグラフから40,000時間を平均寿命の目安としています。(一般的使用条件では8年〜10年、連続使用の場合には4年〜5年が平均寿命の目安となります。)
安定器の寿命は、主として巻線部分に用いられている絶縁物の寿命によって決定されます。(図1参照)
絶縁物の平均寿命は、安定器を標準条件で使用した場合、8〜10年間と考えられています。
ところが、一般に安定器に使用されている絶縁物は、最高使用温度を8〜10℃超えると寿命が半減するといわれています。
なお、東芝蛍光灯安定器は安定器に用いる絶縁組織をA種(105℃)からE種(120℃)に変えると同時にプロテクターを付加することなく、安定器の寿命末期に安定器自体で異常熱損を防止する製品として開発されたものです。
以上から、安定器寿命と使用温度とは密接な関係にありますので、注意事項を守ってご使用ください。
図1 使用温度と寿命(IECPub.60920より算出)
LEDは固体発光方式のため、従来の光源のようにフィラメントの断線により不点灯になることはほとんど起こりませんが、使用材料の劣化などにより、点灯時間の経過に沿って徐々に光量が減少していきます。LEDの寿命につきましては、JISC8105-3:2011照明器具-第3部:性能要求事項通則の中でLEDモジュールの寿命について「LEDモジュールが点灯しなくなるまでの総点灯時間又は全光束が、点灯初期に測定した値の70%に下がるまでの総点灯時間のいずれか短い時間」と定義されています。これにならい、原則初期全光束の70%に達した時を寿命として表記しています。この数値につきましてはあくまでもLEDの設計寿命であり、その寿命を保証するものではありません。照明器具の寿命につきましては、従来光源を使った商品と同じです。なお、初期照度補正機能付器具などの一部機種については、LED温度特性などを考慮し、寿命を設定しています。
昇降装置や照明器具には耐用の限度があります。
設置から長期間が経過した昇降装置にLED照明(LEDランプ・LED照明器具など)を取り付けて、さらなる長期間の使用を続けることは危険です。
LED照明を採用の際は、既設の昇降装置の撤去をお願いいたします。
照明器具用の昇降装置は、建築物の附属品とみなされ耐用年数が見過ごされがちです。しかし、複雑な機構部品と電気部品で構成されている昇降装置は、一般の工業製品と同様に耐用年限があり、設置後10年を経過すれば、動作回数が少ない場合でも、照明器具からの熱負荷などにより内部の劣化が進行しています。そのため、長期間経過した昇降装置に長寿命なLED照明を取り付けて、さらなる長期間の使用を続けることは危険です。
LED照明を採用の際は、既設の昇降装置の撤去をお願いいたします。
接点部の劣化
材料の変形、変色
電気部品の劣化(モーター内部のコンデンサーの劣化など)
ワイヤーの巻き乱れ
ワイヤー切れ
一般社団法人 日本照明工業会からも、昇降装置とLED照明器具の組み合わせに関する注意喚起がされています。
高所取付照明器具をお使いの皆様へ(一般社団法人 日本照明工業会のサイトへリンク)
電動昇降装置は複雑な機構と電気部品で構成されています。電動昇降装置の設計に当たっては、一般社団法人 日本照明工業会ガイド「懸垂形照明器具システムの安全指針」に従った設計をしていますが、安全を確保するために6ヶ月に1度程度下記要領に従った定期点検を実施するようにお願いします。