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光環境の質から考える照明計画

照明が空間の価値を高める

快適な空間づくりに欠かせない「光環境」。
こちらでは、「光環境」を考慮した照明計画の基本的な考え方から、施設別の具体例までをご紹介します。
人にやさしく、空間の価値を高める照明とは何か−皆さまの空間づくりのヒントになれば幸いです。

基本のキホン「用途に合った明るさ」― 照度基準を知る

光環境を考えるうえで、最も基本となるのが「空間の用途に合わせた明るさ」です。適切な照度は、作業のしやすさ、安全性、快適性を支える重要な要素です。

たとえば、同じオフィスビル内でも、執務室、会議室、休憩室では求められる明るさが異なります。また、病院の処置室や、精密な作業を行う製造現場では、高い視認性や細部への集中が必要なため、さらに高い照度が求められます。

一方で、照明が明るすぎると「まぶしさ(グレア)」によって不快感を生じさせることがあります。逆に、暗すぎる環境では、作業効率や安全性が損なわれてしまいます。だからこそ、「適切な明るさ」の設定は、空間の質を大きく左右する鍵となります。

照度に関する基準には、労働衛生基準JIS(日本産業規格)の2つがあります。

労働衛生基準は、従業員が安全かつ健康に働くための環境づくりを目的とした基準です。具体的には、労働安全衛生法に基づき定められた事務所衛生基準規則や労働安全衛生規則などの省令で規定されており、事業者は必ず守らなければなりません。

一方、JISでは、施設の種類や空間の用途に応じて、快適で機能的な光環境を実現するための推奨照度が示されています。実際の照明設計では、このJISの基準が広く用いられ、光環境の質を保つための指標となっています。

JIS Z9110 照明基準総則はこちら外部リンク

※「日本産業標準調査会HP JIS検索」へリンクします。
「規格番号からJISを検索」で「Z9110」と入力し検索してください(要利用者登録)。
屋内の照度基準は「Z9125」で検索してください。

イメージ画像(授業中の子供)

労働衛生基準(事務所則第10条第1項関係)

作業の区分 基準
一般的な事務作業 300ルクス以上
付随的な事務作業 150ルクス以上

※資料の袋詰め等、事務作業のうち、文字を読み込んだり資料を細かく識別したりする必要のないもの

JIS屋内照度基準(JIS Z 9125より一部抜粋)

領域、作業又は活動の種類 推奨照度
事務室 750 lx
会議室 500 lx
休憩室 100 lx

「光環境の質」をさらに高めるために ― 光の人への作用から考える

空間に求められる照度基準を満たすだけでは、本当に快適な光環境とは言えません。
照明が人の心理や行動に与える影響をふまえ、「光が人にどう作用するか」という視点から光環境の質を捉えることが、より質の高い空間づくりにつながります。

ZVEI(ドイツ電気・電子工業連盟)のHuman Centric Lighting(HCL)の定義を参考に、光が人に与える効果を次の3つに大別して紹介します。

視覚的感情的生物学的

※参考:Zentralverband Elektrotechnik- und Elektroindustrie 「Der Einsatz von Human Centric Lighting (HCL) ermoglicht das richtige Licht fur jede Tageszeit」(2016)

視覚的のピクト光の視覚的効果 ― ものをみる

光の視覚的効果は、見やすさや色など「ものをみること」に関します。
照明計画の基本となる照度の確保もこれに含まれます。またJISには推奨照度に加え、グレアの制限値や、色の見え方に関わる演色性などにも言及されています。

視覚的効果の例と関係する測光量

作業のイメージイラスト

作業がしやすい

作業面照度

PC画面を見ているイメージイラスト

画面が見やすい

背景輝度・グレア

服を選んでいるイメージイラスト

色がわかりやすい

演色性(色が正しく見える)

顔色が良いイメージイラスト

顔色が良く見える

演色性(色が好ましく見える)

本を読むイメージイラスト

文字が読みやすい

コントラスト(文字がくっきり見える)

視覚的のピクト光の感情的効果 ― こころにはたらきかける

光の感情的効果は、文字通り「人の気持ち」に及ぼす効果のことです。
照明によって心理的な影響を与えます。

感情的効果の例と影響する照明要素

服を選んでいるイメージイラスト

季節を感じる

色温度など

楽しい気分のイメージイラスト

楽しい気分にする

光色・時間的制御など

開放感を感じているイメージイラスト

開放感を感じる

光色・器具形状・配置など

生物学的のピクト光の生物学的効果 ― リズムをととのえる

光の生物学的効果は、主に「生体リズムの調整」に関します。 人の生体リズム周期(サーカディアンリズム)は、24時間よりやや長く、光の情報により、体内のリズムを外界と同調させています。

生体リズムの調整(イメージイラスト)

生体リズム調整には
朝〜日中は青色成分が多く(色温度が高い)、明るい光
夕方以降は青色成分が少なく(色温度が低い)、暗い光
とする必要があります。

生体リズムへの光の影響度を表す指標には等価メラノピック照度メラノピックEDIがあります。

人々の健康とウェルビーイングへの影響度を評価する建築や街区の環境性能評価システムWELL認証では等価メラノピック照度またはメラノピックEDIで以下の通り定められており、値を満たすとポイントが得られます。居住スペースは調光機能が求められ、夜間は減光させることも定められています。

WELL認証 L03:Circadian Lighting Design

時間帯 閾値(目の高さにおける) ポイント
等価メラノピック照度 メラノピックEDI
日中4時間以上
(ただし正午までに開始)
150 m-lx以上 136 lx以上 1pt
275 m-lx以上 250 lx以上 3pt

※出典:International WELL Building Institute, WELL v2™, Q2, 2025を参照して表を作成

また、2025年1月には、ISO/CIE 8995-1:2025「光と照明−作業場の照明−第1部:屋内」の附属書に、生体リズムに影響する光反応に関する項目が追加され、時間帯で推奨メラノピックEDIが示されました。

推奨メラノピックEDI

時間帯 推奨メラノピックEDI
日中 最小250 lx
夜間(就寝前3時間または活動時) 最大10 lx
睡眠時 最大1 lx

※出典:ISO/CIE8995-1 Light and lighting - Lighting of work places Part 1: Indoor Annex Bを参照して表を作成

以上より、生体リズム調整の観点では、目の高さでのメラノピックEDI日中(16時まで)に136 lx、できれば250 lxを維持し、夜間(就寝前3時間)は10 lx以下とすることが推奨されます。

3つの光の効果は相互にも作用します。
(例:食材の色が鮮やかに見える【視覚的】→ おいしそうに感じる【感情的】)

各施設や利用シーンにおける人の行動や目的に応じて、光がもたらす3つの効果を総合的に考慮して照明を設計することで、質の高い光環境をつくることができます。

光の効果(イメージイラスト)

施設別の照明提案例

空間に求められる照明の条件は用途によって異なります。
光環境の質を向上させるポイントとおすすめ器具を紹介します。

※以下に記載の推奨照度および照度範囲はJIS Z9110およびJIS Z9125を参照しています。

オフィス

執務スペース

長時間を過ごす執務スペースは、生体リズムへの影響にも配慮が必要です。
調光調色照明で正常なリズムをサポートします。

推奨照度 750 lx
照度範囲 500 lx〜1000 lx

1日のリズムをつくるあかり

午前中〜日中

午前中〜日中の執務室のイメージ画像

高色温度・高照度の光で眠気を抑えてすっきりした気分で作業できる

夕方〜

夕方〜の執務室のイメージ画像

低色温度・低照度に変化させ時間の流れを感じさせつつ生体リズムを乱さない

会議室

見る対象(視対象)や会議の種類によって、ふさわしい光環境は異なります。
利用シーンに合わせた照明で作業性向上を支援します。

推奨照度 500 lx
照度範囲 300 lx〜750 lx

シーンに合わせて見やすいあかり

プレゼンテーション

前方は暗く、手元は明るくした会議室(イメージ画像)

前方は暗く、手元は明るくしてスクリーンも手元の書類も見やすい

面談・議論

明るい会議室(イメージ画像)

部屋全体が明るく話している人の顔が見やすい

議論内容に合わせたあかり

決議(収束型)

青みのある光色の会議室(イメージ画像)

青みのある光色で集中

アイディア創出(発散型)

暖かみのある光色の会議室(イメージ画像)

温かみのある光色でリラックス、
発想を柔軟に

リフレッシュスペース

仕事の合間に利用するリフレッシュスペースは執務室とは異なる雰囲気で。
従業員の満足度を高める環境づくりをサポートします。

推奨照度 200 lx
照度範囲 150 lx〜300 lx

リラックスできるあかり

リフレッシュスペースのイメージ画像

落ち着いた明るさ、温かみのある光色でリビングのような照明でリラックスして過ごせる

おすすめ器具

器具画像

LEDユニバーサルダウンライト、ダウンライトなど照明設計によって実現

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福祉施設

食堂・レクリエーション室

加齢とともに、生体リズムのメリハリは弱まっていく傾向があります。
調光調色照明で正常なリズムをサポートします。

推奨照度 300 lx〜750 lx
照度範囲 200 lx〜1000 lx

※食堂(300 lx)および読書などの活動(750 lx)を想定

1日のリズムをつくるあかり

午前中〜日中

午前中〜日中の食堂のイメージ画像

高色温度・高照度の光で覚醒を促進、日中の眠気を抑え活動的に過ごす

夕方〜

夕方〜の食堂のイメージ画像

低色温度・低照度の光で夜間の入眠を妨げない

加齢により生体リズムのメリハリ(変動幅)は小さくなると言われています。夜の眠りが浅いと、日中の活動に影響が出ることもあります。朝〜昼はしっかりと光を浴びて、夜はなるべく光を抑えることで正常な生体リズムをサポートします。

説明する人のイラスト

居室

生体リズムにとって就寝前後の光は非常に重要です。
調光調色照明で正常なリズムをサポートします。

推奨照度 200 lx〜750 lx
照度範囲 100 lx〜1000 lx

※団らん(200 lx)および読書などの活動(750 lx)を想定

1日のリズムをつくるあかり

夜(入眠時)

夜(入眠時)の居室のイメージ画像

低色温度・低照度の光を徐々に減光させスムーズな入眠を

朝(起床時)

朝(起床時)の居室のイメージ画像

起床時間前からゆっくり点灯、高色温度の光ですっきり、目覚めをサポート

おやすみアシストタイマー

おやすみアシストの動作説明(グラフ)

面会室

入居者様とご家族様との面会の場所。
顔色など変化に気付きやすい環境を照明でつくります。

推奨照度 500 lx
照度範囲 300 lx〜750 lx

※応接室および相談室を想定

顔色を正しく見せるあかり

リフレッシュスペースのイメージ画像

高演色・明るめの光で、入居者様の顔色を忠実に見せる

おすすめ器具

器具画像

LEDベースライトTENQOOシリーズ、小径ダウンライトなどRa90以上の高演色タイプ

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